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【インタビューvol.2】福祉は特別じゃなく、みんなの隣にある。

福祉は特別じゃなく、みんなの隣にある。

それを体感できる場が「ル・クロ」

 

―フレンチレストラン「ル・クロ」がユニバーサルレストランだということを知らずに来店したお客様も満足させる必要がありますよね。そのクオリティをどのように保っていますか。

 

瀧:「ル・クロ」にいらっしゃるお客様が気づいてキャストのペースに合わせてくれている気がします。例えば注文を聞くときは、正規職員より時間がかかるのですが、お客様もゆっくり待ってくれるんですよね。もちろんその様子は正規職員が目を配っているので、もし何か問題があればすぐにフォローが入ります。全部を一人でさせない、という考えなんです。全部を一人でやろうとするからしんどくなる。そんなの私もできないですよ。できないことを求めるのでなく、できることをプロからのフォローをもらいつつ極めていく。そっちのほうが働いていて楽しいですよね。

 

―この環境はキャストとプロの仕事が組み合わさって実現しているのですね。従来のやり方にとらわれていないところがすごいですよね。

 

瀧:レストランはイレギュラーな事態が起きて当然の場所なんです。例えば、予約なしに突然お客様がご来店されることもありますよね。そんな時も「いらっしゃいませ」と受け入れるのが当然なんです。

 

予想外のことも受け入れる世界で働いてきたシェフたちだからこそ「ル・クッカー」の子どもたちも自然に受け入れることができるのでしょうね。

 

―料理人の世界は師弟関係も厳しそうなイメージがあります。そういう場所にキャストが入っていくのは難しくなかったのですか?

 

 

瀧:逆に、キャストのおかげで、料理人の師弟関係はずっとマイルドになっていると思います。以前より今のほうがの料理長やスタッフは元気で優しいですよ。そんな風に職場の雰囲気が変わっていく様子を見ていると、私たちこそキャストの存在が必要なのだと感じます。

 

 

―バリュー・ラボ・フクロウでは一般就労に切り替えることもあると聞きましたが、それは入る前に決めるのですか?それとも実際に働いてから決めるのですか?

 

瀧:入る前に決められる人は少ないですね。ただ、働いていくうちに、一般就労へと目標を持つようになるキャストもいます。

 

―支援機関の2年が経った後はどうですか?

 

瀧:本人の意思を応援する方針なのでみんなそれぞれ違います。レストランの仕事より農業のほうが向いている人は、地産地消のフレンチレストラン「ル・クロ丹波邸」や最近新しくオープンしたグランピング施設「ファームグランピング ルクロ かいづかいぶきヴィレッジ」で自然と触れる仕事をしたり。「ル・クロ」グループ内でも選択肢がある分、進路もそれぞれですね。

左:チャレンジドLIFE 畠中直美/右:ル・クッカー 瀧 幸子さん
左:チャレンジドLIFE 畠中直美/右:ル・クッカー 瀧 幸子さん

 

―市区町村からの紹介で「バリュー・ラボ・フクロウ」に来る方もいますか?

 

瀧:はい。あります。また。特別支援学校の実習受け入れをしているので学校からの紹介や実習を体験した親御さんからの口コミもあります。あと、2ヶ月に1回「大人の社会科見学」を開催し、施設を実際に見てもらっています。そこには福祉事業所関係者もそうでない方も参加していただいています。そういう意味では福祉の枠がなくなってきている気がします。

 

―ル・クロには、障がいのある人もそうでない人も、ごちゃまぜにいる。みんな本物。お互いに学び、成長しあう環境がある。ここはまさに、多様性が実現されている環境ですね。

 

 

今日は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。